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こだわり素材開発物語

第2話 オメガバランスビーフPJ 笠谷 樹

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健康に良く、環境にも良いビーフを開発せよ!

「オメガバランスビーフ」とは、オメガ3系脂肪酸を多く含むように改善された全く新しいビーフのことなんです。

オメガ3系脂肪酸とは体に欠かせない必須脂肪酸のひとつで、これは食べ物から摂取するしかなく、現代人の健康維持に貢献すると言われています。具体的には心臓疾患やアレルギー防止、ガン予防、肥満防止に効果があると言われています。一般的に脂肪というと健康に悪いイメージがありますが、オメガ3系脂肪酸を摂取し脂肪酸のバランスを図ることで、こうした健康に良い効果が表れるわけです。

また、「オメガバランスビーフ」にはもう一つの特長があります。脂肪酸カルシウムという飼料を与える事によって、飼育時に牛が発生するゲップの中に含まれるメタンガスの発生を10%削減する事に成功したことです。牛一頭につき10%ですから、これを世界に広げれば地球温暖化防止に効果があり、環境にも優しいビーフと言えます。

この開発プロジェクトは当社と飼料メーカー、大学、各種研究施設、農場が参加した、『農林水産省研究成果実用化促進事業』の一環でした。2年間に及ぶこの産官学の合同プロジェクトにより、「オメガバランスビーフ」は科学的データの裏付けを得ることができ、この度自信を持って、健康と環境に良い影響を与える牛肉として、2011年冬、世の中にデビューさせることができました。

当プロジェクトの中でのニチレイフレッシュの役割は、この牛肉をどうやってビジネス化していくか?日本や世界に広めていくか?が課されています。1952年から始まった当社の畜産事業が持つ歴史や豊富な経験が試されるときです!

ポークで成功した!次はビーフだ!

実はオメガ3系脂肪酸を多く含む肉の開発と生産は、すでにポークが先攻していて、当社においてビジネスとして、またフラッグシップブランドポークとして稼働し採算もとれていたのです。

「だったらビーフでもやってみようじゃないか!!」という声が社内やお客様からの要望もいただき、私がリーダーに抜擢され、当プロジェクトが3年前に始まりました。 ところが、いざ調べてみると、ビーフの場合はポークのように、そう簡単にはいかないことが分かりました。

なぜなら牛には胃袋が4つあり、飼料が消化されるまでに時間がかかるのと成長までに約2年半~3年かかるため実験の成果がなかなか表れないのです。また、牛の場合には豚と違い、牛がゲップする度に発生するメタンガスの問題があったりしたからです。これには、私も手も足も出なくなり、一端プロジェクトが中止ということになりました。

そんな時、ちょうど、九州大学の方の論文で、“飼料を変えることで牛のメタンガス発生を抑制することができる”という内容が発表されました。私は、その論文に多いに刺激を受け「これは当社だけの規模ではなく、大規模な実験を行わなければ絶対に成功しない!」と考え、実験の協力を社外の業界の方やその先の関係者の方々に自ら足を運び呼びかけ、賛同者を募りプロジェクトチームを作り、国が公募する「農林水産省研究成果実用化促進事業」に応募したのです。この提案が認められ、国から補助金が出る事になりました。2009年のことでした。これを期にプロジェクト活動は一気に加速し、2011年、成果をあげることが出来たわけです。

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