私は学生時代から畜産の勉強を続けており、語学にも自信があったので、将来は海外と取引する畜産関係の仕事がしたいと思い当時のニチレイに入社しました。あいにく入社後は国内営業(関西)ばかりをやっていましたから、英語を使う場面が無かったですね。
その後、ニチレイは分社化し、私はニチレイフーズ(加工品がメインのグループ会社)へ移籍しました。そこで加工品の開発の仕事に専念。ここで得た知識がその後大きく役立つ事になるとは、このときは夢にも思いませんでした。
ニチレイフレッシュの畜産事業部は外食・中食チェーンや量販店へ、生肉を販売するのがメインの事業でした。
しかし近年、お客様の現場で簡単に調理できる『加工品』のニーズが増えてきました。今まではそれぞれの営業担当が個別に対応していましたが、さらにニーズが高まることが予想され、トータルに加工品を開発・提案できる『畜産加工品グループ』の立ち上げが必要となりました。
ところが、ニチレイフレッシュには生肉に詳しい人はたくさんいますが、加工品に詳しい人がいなかった。そこで、当時ニチレイフーズにいた私が呼ばれました。現在、ニチレイフレッシュにおいて、加工品の知識に関しては、おそらく私より詳しい人はいないでしょう。
畜産の加工品事業を立ち上げ、軌道に乗せること、これが私の使命でした。
『畜産加工品グループ』ではチキン、ポーク、ビーフに関するすべての加工品を一元化し開発をしています。まずは営業と同行し、お客様の要望を細かくヒアリング。その上で国内や海外などに多数ある、当社の協力加工工場を選んでラインを構築します。
例えば、お客様がこだわり素材を求めているなら国内工場、価格の安さを求めているなら海外の工場という風に選択します。さらに工場によって得意な加工がありますから最適な選択を慎重に行います。そして、実際に取引が始まると今度は調達から納品までをトータルに管理していきます。
また、営業支援業務も行っています。
具体的には、今まで各現場で個別に行っていた加工品の情報をすべて集め、1冊のカタログにしました。こうすることで、全国の営業マンが情報を共有化することができ、無駄な営業努力を減らすことができます。
結果、たくさんの加工品が上がってきました。これらを今までオーダーメイドで終わらせていたなんてもったいない!汎用化して、加工品販売に本腰を入れていけば、きっと事業として成功する…そんな実感を持ちました。
一口に加工品と言っても、実に奥が深いのが現状です。
例えば加工法に関しても、味付け、加熱、ゆでる、衣をつけるなど様々です。さらに、味付け一つをとってみても、たれの成分はどうするか、醤油やみりんの割合は…といった具合に、お客様によって内容が変化します。こうした知識をしっかり持っていないとお客様に提案することはできません。単なる御用聞きになってしまっては、仕事は広がりを見せません。
素材の知識、加工の知識、現場の知識などを組み合わせて、ひとつの商品を生み出して行くことは大変な作業ですが、逆にやりがいとなっています。
最近のヒット作は、他社では真似できない加工をほどこした『チキンの唐揚げ』、『つくねのフライドチキン』、『あぶり焼きカットチキンステーキ』などです。
ポークですと、『とんかつ』や『角煮』、ビーフだと『牛タン』といったところです。どちらもお客様の現場で簡単に調理できます。
また最近、『焼き鳥』の注文が多くあります。小さな肉を一つずつ串に刺す手間がかかるので、加工品のニーズが高まっているのです。こちらは海外で串にさして、素焼きして、冷凍したものを輸入。味付けは、お客様のところで自由にできるように工夫されています。
こうした商品を次々に生み出し、営業が自信を持って売ってくる、それが事業として成功することが、今の私にとっては実に嬉しいことです。
将来は、この畜産加工品グループを社内でもナンバー1の組織にしたいです。そして、他社が真似できない畜産加工品事業を展開していきたいですね。単に商品を右から左へ動かすのではなく、お客様の要望に対してしっかりコンサルティングできる組織になること、最適な加工拠点を選んで生産ラインをコーディネートできる組織になること、そうすることでニチレイフレッシュならではの強みが発揮できると思います。
まずは、3年後を目標に、採算のとれる加工品事業部を目指します。
私は今年で40歳です。『四十にして惑わず』のことわざどおり、迷うことは何もありません。まっすぐな決意で、この任務を遂行していきます!